第二章 大海原をゆく船 第五節 フレイング・デッチマン号 その8

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「くそっ! カッパードとスーレーはどこに行きやがった?! だましやがって!!」  ケルーガはガトリング銃を手にあたりを見回したが、彼らはドサクサに紛れて船内に逃げて行ったようで姿が見えなかった。 「フン! どうせ火であぶりだされてくるだろうがナ!」  ケルーガの言葉通り、フレイング・デッチマン号の船内から煙が漏れ始めていた───なおかつ、『ドーン』というような音も聞こえる───どうやらケルーベは船内の機関室あたりに細工を施して火災を発生させたらしかった。 「ケルーベ!! 長居するなッ! 銃を捨てて渡って来い!!」    グリンドーがドマーロの船上から声をかける。 「ちぃっ! つかまっちまうのかね・・・?」  ケルーベはブベールの宝を横取りするという自身の計画がすべて水泡と帰し、グリンドー達に捕らえられることに腹立たしさを覚えたが、妹のケルガがグリンドー達によって助け出されている状況ではやむを得なかった。  フレイング・デッチマン号の船内に通じる入り口からは炎と真っ黒な煙が噴き出してきている。 「兄さんっ! 早く!!」  ブラーウ医師に背負われたままで、ケルガがか細い声で叫ぶ。  ケルーベは「チッ!」と舌打ちしたが、思い切りよく渡り板まで来ると後ろを向いてガトリング銃を1回だけ掃射した後に銃を甲板に放り投げた───そして、向き直り、渡り板に足をかけた───そのとき───  すばやく移動してきたスライム女『ネルゼス』のメスがケルーベの右の頸動脈を切断し、スライム女『ホルア』のナイフがケルーベの左胸を深く刺した───
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