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お正月は、それまでと変わらなかったはずだ。
「水筒持った? マスクは?」
「持った」
「やっぱり、お母さんが車で送っていこうか?」
「いいってば」
心配そうな声を振り切るように、玄関に向かう。
「帽子かぶってね。気をつけてね!」
いつもはスルリと出る一言が喉につまって、何も言わずに外に出た。
いってきます。
僕が言う代わりに、ドアがビシャンと巨大な音を立てた。肩がビクッとしてしまう。
それでも、振り返らずに家を出た。
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