落涙、海に紛れて星となる。

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向かう道中、彼はひたすら試みたがトランクは開かずに空港に着いてしまった。まあいい。向こうで時間はタップリある。親戚への手土産がまだだったので選ぶこととする。時計を見ると残り10分である。なぜぎりぎりなのか。苛立ちが徐々に熱を帯びる。滑り込みで搭乗手続きを済ませ、荷物を預けるが彼がまだ出て来ない。女に聞く。 「何してんだ?」 「なんかトランクの中にライターが2個入ってて、それが引っかかったんだけど、トランクあかないし。」 歩くギャグだよ。まったく。空港の人がこじ開けてくれたからなんとかなった。トランクも使えるようになった。ヨカッタヨカッタ。 とうとう飛行機に乗る。ワクワクが止まらねえ。僕は一人離れた場所なのでいいが、2人が席に座ろうとすると縦に並ぶように座った。彼が 「ボブスレーみたいだな!」 ってそんな発想が出来る彼が気に入っている。
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