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すると、一緒に営業先から戻ってきた後輩の加川が、
「二十代で全店トップなんて凄いですよ! 俺、君嶋さんみたいになりたいと思って仕事してます!」
なんて可愛いことを言ってくる。
「よしよし。嬉しいこと言ってくれたお礼に、今夜飲みに行かないか? 奢ってやる」
「本当ですか! やったぁ!」
「えー! 加川君ズルい! 私も行きたーい!」
「はいはい。皆で行こうぜ」
「やったー!」
ーー君嶋 彼方、二十七歳。
自分で言うのもあれだが、仕事はデキるし、上司からの信頼も厚く、後輩からも慕われている。
努力していないわけではないが、これといって挫折したこともなく、毎日充実している。
顔も良い方だと思ってるし……強いて言うなら、ここ二年ほど彼女と呼べる存在がいないのが悩みのタネではある。
それなりにモテる方だとは思うのだが、誰を見ても自分の中でどうもピンと来ず、恋人関係になり切れない。
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