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という訳で、会長を引き連れ自分の部屋へ戻ってきた。
会長はエアコンのフィルターを開け、軽くちょちょっと分解して、部品をいくつか弄っている。
とても鮮やかな手順だ。
「会長って実は機械に強いメカニック男子だったんですねー」
俺の偏見だけど、物が故障したら真っ先に新しく買い換えるか、部下とか使用人に修理任せてそうなのに。
「ああ、本当は結構こういうの好きなんだ。
両親はあんまりいい顔しないがな…」
ちょっと苦い顔で会長はそう語る。
「俺、部品作る下請けの会社で働きたくて。
1度だけ両親に話してみたら猛反対、そっから機械触れる環境にないんだ。」
"だから、こうやって触れるの楽しくて……"
それを聞いて、単純に羨ましいと思った。
キラキラした夢があって、自分のやりたいことがあって。
将来について、進路の話や面談などで聞かれるたび、いつも答えられない俺とは違う。
いまいち、自分が何がしたいのか分からないんだよな…
永遠に大人になれる気がしない。
「夢叶うといいっすね。」
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会長のおかげでエアコンは無事、スマートに動きだした。
「ありがとうございますー。会長のおかげで夏が越せるようになりました!」
ぺこりと頭を下げると、
「そのさ、会長って呼び方辞めろよ。」
唐突にそう言われる。
「それは俺ともっと親交を深めたい的なアレですか?」
だったら、まず最初に会長はするべきことがあると思うんだよ。
「まず、自己紹介してくださいよ」
会長の事はそりゃ知ってるけど、本人から名乗られたことないから、何て呼んだらいいかわかんないし(笑)
そう言うと、会長はあんぐりと口を開け目を白黒させて驚いた様子。
「そんなこと俺に言ってきたやつ初めてだわ」
苦い顔で少し歪な笑みを浮かべた。
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