4章 ラストノート

5/13
前へ
/61ページ
次へ
「俺は南雲 龍之助。会長って名前じゃないから気軽に"龍せんぱぁい♡"って呼べよ」 開き直った会長は無茶振り全開。 いやいや、その呼び方はチワワ専用のやつw どう考えても無理すぎるーーーー。 「どうも紹介ありがとうございますー。 ご存知だろうけど、俺は桃山です。」 とりあえず、スルーして名乗り返す。 修理終わったけど、《はい、じゃあお疲れ様でした!》って終わる訳にはいかなさそう。 会長の飲みそうな高い珈琲や紅茶なんてないけれど、お茶でも出そうと呼びかけた。 「せんぱい、」 その途中で会長がニヤついた顔で口を挟む。 「じゃなくて龍先輩だろ?」 「んー、それはちょっとハードル高いっす…」 「分かった。じゃあ選ばせてやるよ。 俺の事名前で呼ぶか、桃山が名前呼ばれるか どっちがいい?」 「どっちもやだーーーー。」 首を横へ振り、イヤイヤと繰り返す。 両方、親衛隊にバレたら制裁案件じゃん… 会長の親衛隊ってガチ勢の過激派が多めだから、死亡確定案件。 いくつか押し問答の果てに会長が言う。 「じゃあ、シロって呼ぶのは?」 やり取りに疲れてきていた俺は頷いた。 もう、それでいい。犬みたいな呼びかけだし誤魔化せそう…とバグった頭がGOサイン。 「しろ、」 気づいたら、会長が真横にいた。 驚いて肩が跳ねる。いつの間に…… ビクッとした肩へゆっくりと手が伸びる。 「茜の件も、薬の事件も巻き込んで悪かった。」 肩に伸びた手が後ろに回る。 そして、そのままぎゅっと抱きつかれる。 グッと耳元に近づかれ、唇の存在を感じるくらい近い距離に… 「俺が気になってるのお前だから。」 っっっ!?? 暖かい吐息と吹き込まれた言葉に混乱する。 「これだけは言っておきたくて。」 スっと会長が離れていく。 「じゃあ、またね。寮長の萩野に会ったら俺が探してたって伝えといてくれ。」 そうして、衝撃だけを残し会長は去っていった…
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

243人が本棚に入れています
本棚に追加