4章 ラストノート

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柔らかい髪が首筋をくすぐる。 髪の触れる感触にソワソワとして、身を(よじ)る。 「ちょっ、ストップ! 近いって。」 湊は停止の声を聞かず、グイグイと頭を肩へ押し付けできた。抵抗を諦めてされるがままになっていると少しづつ落ち着きを取り戻す。 「あれ、もしかして会長の香水〜?」 なんか嗅いだことある匂いだと思ったー!なんて呑気に俺に笑いかけてくる。 いやいや、その前に俺を起こしてくれ。 「……あれ??待って。でも、会長の香水が何で桃に移るわけ〜?匂いが移るような距離にいたの?」 ジトーっとした目で、顔を覗き込まれる。 さっきは笑っていたのに、硬い表情に… まじで今日の湊、情緒不安定だなぁ。 力の抜けた湊を引き離し、起き上がりながら事情を説明する。 「たまたま会って、エアコン治してくれた。」 抱きついて気になる人宣言されたくだりはカットして、それっぽく誤魔化す。 「………とまぁ、そんな感じでたまたま一緒にいたから匂い移っただけー。」 「…そっかぁ〜」 "そー、だから何にもないよ"と浮気の言い訳みたいなやり取りを何度か経て、やっと解放された。 「ごめんね〜。問い詰めて…」 しょんぼり顔で謝られる。 あぁ、もう本当にズルい男め、そんな顔されたらなんにも言えなくなるだろ〜〜。 「…次からはまず俺の話聞いてね。」 「うん。」 「でもさ、桃気をつけてね。俺が言うことじゃないかもだけど、会長って結構手がはやいからさ〜」 「もう、俺桃のこと心配になっちゃう☆」 なんてウインク付きの茶化したトーンで、湊に忠告された。 あぁ、やっぱちょっとタイプだからどうですか?的なお誘いだったんかなぁ…… いや〜、会長のことはわからん!!!
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