4章 ラストノート

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会長の香水が移ったままの制服でいると、湊の機嫌が良くないので、ラフなジャージに着替えた。 ちなみに、"デート"と称した中身は一緒に夜ご飯食べて俺の部屋に泊まりたかったみたい。 「じゃあご飯どうするー?食べに行く??」 俺は料理はカレーと鍋くらいしかできないので、自分が作るという選択肢はない。   湊は料理上手なので、(作ってくれるなら部屋で食べてもいいなー)と思いながら、問いかける。 「なんか作るよ〜、桃は何食べたい?」 よし、来た!!外出るの面倒くさかったから ラッキー。 「ミートパイがいい。」 前に間宮の誕生日プレゼントで湊があげてたんだけど、めちゃくちゃ美味そうだったんだよね… 「おっけー!サクッと材料買ってくる〜 あ、一緒に来る?」 指先2本で丸を作りながら了承をくれた湊に そう聞かれる。 行ってもいいけど付いて回るだけだし… 「その間にお風呂洗ったり、部屋片付けとくわー」 「りょうか〜い!」 と言ってピシッと敬礼ポーズを決めながら、湊は出かけて行った。 ____________________ 佐々木 湊side 元に戻った空気感にほっとしながら、いつもの感じで部屋を出る。 今日はデートって名付けたのにそのままOKだったことが、なんだかテンション上がってた。 それで、ルンルン気分で桃の部屋に訪れたら本人からも部屋からもする知らない香水の香り。 (桃が誰かに抱かれたのかと思った……) それで腹の奥がカッと熱くなって、つい桃のこと押し倒した。大事にしたいのに、どうして上手くいかないのかなぁ〜… この前の件もあるし、無理矢理する前に我に帰ってよかった。また、トラウマにしちゃうとこだった。 愛とか恋とか直ぐに崩れる儚いものより、桃とはずっと一緒に居られる友情がいいって思ってたけれど、桃に彼氏が出来たら受け入れられないことに今日初めて気づいた。 (あー、こんな予定じゃなかったのにな) _いつからそんな風に思ってたんだろ。 そう考えながら、夜空を見上げた。
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