あんた誰よ。

3/5
前へ
/5ページ
次へ
「……君が、風早小花さんかね」 「ひっ、……あ、はい、」 突然名前を呼ばれて室内を振り向くと、目の前の高級そうな椅子には校長先生が、そして両サイドにあるソファーの左側には……え、お父さんとお母さん!? 二人とも困ったように眉を下げて、こちらを見ている。 そして右側には、…………誰? なんかしらんけどめっちゃ偉そう、というのが私の初見の感想。 こちらをただただ見つめているその男は、見とれるほど綺麗な顔立ちをしていた。 綺麗な黒髪、照明が当たっている瞳は反射してきらきらと輝いていた。 一目見ただけでも、人を惹きこむような魅力があることは理解出来た。 全身を黒のスーツでかため、その男の左右にはボディーガードみたいなガタイのいい男性が座っていた。 誰よ。 「……こんにちは」 とりあえず、挨拶してみる。 返事はなかった。 あれ?もしかして外国人なのかな? 日本語通じない?英語で話せって? いや私英語無理なんだけど。 なになに、この抜き打ちのスピーキングテストみたいなの。 すると、おもむろに相手は口を開き、「こんにちは」と言った。 うわ何この声イケボ。 顔も良くて声もかっこいいってあなた、全国の男子に恨まれますが!? 「まぁ、座りたまえ」 「あ、はい…」 とりあえずお母さんたちの隣に座るが、男性の視線が私から離れずなんとも居心地が悪い。 おほん、と校長先生がわざとらしく咳払いをしたので、思わず背筋を伸ばす。 「えっと、まずは風早さん、なにかやらかしたというわけじゃないから安心して欲しい」 「あっ、はい…」 いやそりゃそうだ。 私なにもやらかしてない。 だがそれが明らかになったところで、この状況を説明したことにはならない。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加