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「……君が、風早小花さんかね」
「ひっ、……あ、はい、」
突然名前を呼ばれて室内を振り向くと、目の前の高級そうな椅子には校長先生が、そして両サイドにあるソファーの左側には……え、お父さんとお母さん!?
二人とも困ったように眉を下げて、こちらを見ている。
そして右側には、…………誰?
なんかしらんけどめっちゃ偉そう、というのが私の初見の感想。
こちらをただただ見つめているその男は、見とれるほど綺麗な顔立ちをしていた。
綺麗な黒髪、照明が当たっている瞳は反射してきらきらと輝いていた。
一目見ただけでも、人を惹きこむような魅力があることは理解出来た。
全身を黒のスーツでかため、その男の左右にはボディーガードみたいなガタイのいい男性が座っていた。
誰よ。
「……こんにちは」
とりあえず、挨拶してみる。
返事はなかった。
あれ?もしかして外国人なのかな?
日本語通じない?英語で話せって?
いや私英語無理なんだけど。
なになに、この抜き打ちのスピーキングテストみたいなの。
すると、おもむろに相手は口を開き、「こんにちは」と言った。
うわ何この声イケボ。
顔も良くて声もかっこいいってあなた、全国の男子に恨まれますが!?
「まぁ、座りたまえ」
「あ、はい…」
とりあえずお母さんたちの隣に座るが、男性の視線が私から離れずなんとも居心地が悪い。
おほん、と校長先生がわざとらしく咳払いをしたので、思わず背筋を伸ばす。
「えっと、まずは風早さん、なにかやらかしたというわけじゃないから安心して欲しい」
「あっ、はい…」
いやそりゃそうだ。
私なにもやらかしてない。
だがそれが明らかになったところで、この状況を説明したことにはならない。
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