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「そう思われますか! では、もしこの魔法剣を自在に操ることができたとしたら、あなたはこの剣をご自身のものにしたいと思われますか?」
その答えを聞くと、なぜだかウオフェはパっと顔色を明るくし、どういう意図なのか、さらに重ねて質問を彼にぶつけてきた。
「……え? ま、まあ、これほどの威力を持った魔法の剣。もちろんそんなことができるのであれば、自らの佩く剣にしたいところではあるが……じつは、こう見えて騎士の家の出身でね。ゆくゆくは家を継いで、騎士にならねばならん身だ。騎士ならば、優れた剣を手に入れたいと思うのも当然だろう」
「まあ! それは好都合! では、このフラガラッハをあなたに差し上げましょう」
もちろんだというように答えるハーソだったが、するとウオフェはまた唐突にとんでもないことをさらっと言い出すのだった。
「ああ、いただけるのならば、それは願ってもな……な、なんだと!? 本気で言ってるのか!? そんな真顔で言われては冗談にとれないぞ!」
「いえ、冗談ではありません。あなたが騎士の家の者ならばなおのこと。ぜひともフラガラッハの持ち主になっていただきたいのです」
あまりにもあまりな話に一人ボケツッコミ気味に驚きの声をあげるハーソンに対し、ウオフェはいたく真剣な顔つきで改めて魔法剣の譲渡を申し出る。
「い、いや、もらえるものならば当然もらいたいが、その剣は君らダナーンの神宝なのだろう? それをそう簡単にくれると言われても、さすがにはいそうですかともらうのにはさすがに抵抗があるぞ?」
「確かにフラガラッハは大事なマグ・メルの神宝です。ですが、これには深い事情があるのです。あのバカな戦いにこれ以上巻き込まれないためには、他所から来たあなたにこの剣をもらってもらわなければならないのです」
突然の思いもよらない申し出に慌てふためくハーソンであるが、ウオフェはますます深刻な表情になると、その理由を語り出した。
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