Ⅵ 魔法剣の心

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「…ぐびぐびぐび……ぷはぁ~……いえ、あれはわたくしの力というより、現在の所有者であるマナナーンの権威によるものですからね。でも、あなたは自らの力でフラガラッハを操れるようにならなくてはいけません。そんな他人(ひと)の感心をしている場合じゃありませんよ? すみませーん! もう一杯、おかわりお願いしまーす!」  しかし、何気なく呟いたその一言に、ビールを豪快に飲み干したウオフェは照れるでも威張るでも謙遜するでもなく、藪蛇にもハーソンは小言を言われてしまう。 「フン。わかっている。明日こそものにしてみせるさ……ていうか、見かけに反してけっこうイケる口だな……」  少々頬を赤らめ、口を尖らせるウオフェに顔をしかめると、ハーソンは耳が痛そうにそう言い返しながら、彼女の飲みっぷりに時間差で目を見張った。  その翌日も、またその翌日も、またまたその翌日も、魔法剣〝フラガラッハ〟に受け入れてもらうためのハーソンの闘いは繰り返された……。  といっても、毎日無駄に同じことを繰り返していたわけではない。 「――だいぶフラガッハの動きにもついていけるようになってまいりましたね」 「……ふんっ…! ……せあっ!」  ギィィィィィーン…! と一際大きく鳴り響く、剣と剣が激しくぶつかり合う金属音……ウオフェが傍らで見守る中、突進して来る〝フラガラッハ〟をハーソンは振り上げた剣で弾き飛ばす。  闘いを始めてから何日が過ぎた頃だろうか? いつしかハーソンは、そこまで互角に〝フラガラッハ〟と渡り合えるようになっていた。  避けそびれてボロボロに斬り裂かれたということもあったが、この頃には鎖帷子も兜も脱ぎ捨て、また、盾も置いて彼は剣一本で魔法剣の相手をしている。 「それでは、そろそろフラガラッハを操れるか試してみましょうか?」  また、そこまで慣れると今度は、空いた左手にその鞘を持って、魔法剣をそこへ戻せるかどうかを試みてみたりもする。
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