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 セミの声の聞こえない夏。これは過去の記憶だ。思い出には音がない。音やにおいが何かを思い出すトリガーになることはしばしばある。しかし、大切にしている思い出から音やにおいを取り出すのは難しい。そこに体験の風化がある。そのことを僕は今までの20年と少しの人生で学んできた。だから僕は君を見つめる。目に焼きつける。きっとこのうるさい虫の声、草いきれ、土のにおいも忘れてしまうからだ。
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