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胸だけをこんなに愛撫されるのは初めてのとき――いや。初めてのときもここまでされなかったくらいで、よって、これ以上されると、本格的にまずい。
そんな判断が働いたときだった。
けいちゃんが、動きを止めた。
そして、わたしの胸に頬を預け、
「……これ以上おれなんもしないから。このまま、寝かせて……」
じくじくとした感情を持て余したまま。
わたしは、頷いて、けいちゃんの背中に手を回した。
あのときのけいちゃんにいったいなにがあったのか、わたしは知らない。
朝の弱いわたしは、やはり、けいちゃんよりも遅く起きてしまい。
翌朝、テーブルのうえにメモが残されていた。
『悪かった。さきに会社行くから』
いつも、残される側なのだ、わたしは。
そしてそれ以降、わたしたちが男と女に戻ることは一切ないのだが。
つまりは。総合すると、けいちゃんは、わたしが大学一年の頃からわたしのことを好きだったわけで。
彼は、わたしが一条先輩に長らく片想いをしていたのを知っている。
知っていて応援してくれていたわけだ。
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