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◇4 *
さっき味わったばかりの彼の舌が再びわたしを翻弄する。
寸時、わたしは口を外し、彼の耳に息を吹きかけた。「けいちゃんも、脱いで――」
「綾乃が、脱がせて」
再び互いの口を舌を貪りながら、わたしは荒っぽいくらいの手つきでけいちゃんを脱がせる。
下を脱がせるとけいちゃんが、勃起しているのが分かった。
わたしにはなんだかそれがとても嬉しかった。
わたしは彼の男に手を伸ばす。とても太くて血管が浮いている。尖端がちょっと濡れていて、親指の腹で撫でると「うがっ」とけいちゃんが叫んだ。
わたしにはそれがとても可笑しかった。笑っている場合じゃないんだけど。
すると彼がすこしかすれた声で言う。「余裕こいてんのはいまのうちだぞ、綾乃」
「――わ」
背中と膝のしたに手を回され、あっという間に姫抱きでベッドへと。
そして、はだかの男女がなにをするのかといえば、
「綾乃……」
閉じていたまぶたを上げれば。
切なげな男の目線とかち合う。
彼の手がわたしの髪に触れる。
「おれ、……大切にするから。綾乃のこと」
一生。
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