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 いったいどうしてしまったというのだろう。  胸だけでいくなんて人生初めてだった。  キスだけで腰が抜けそうになるのも初。  初めてだらけでいったいどうなってしまうんだろう、わたしの、恋。  ――恋。  しているんだ、やっぱり……。  わたしは目を開いた。わたしの髪を撫で続けているけいちゃんと目が合った。  ……、 「こらこら」笑ってけいちゃんが優しくわたしの頬を摘まむ。「なんで避けるんだよ、おい」 「えっとけいちゃんわたしのこと淫乱とかヤリマンだとか思ってます……?」 「思ってねえよ!」大きい。声。滅多にきかないけいちゃんの大声……。 「あのなあ、綾乃」頬を、大きな両手で挟み込まれる。「いまから言うことは、なにも、おれがおまえを抱きたいから言うわけじゃないぞ。そこんとこ、分かっとけよな」  ……なんのことだか分からないけど。「了解、しました」 「結論するとな。  おまえ、結構早い段階で、おれに惚れてたんだよ。  要は、いまのいままでそれに気づいてなかったってだけの話で」 「……ですの?」
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