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正直、……あのとき、気持ちよくって、そのね、直に、……さ、わって欲しいって思って、ううん、それ以上のことをして欲しいってくらいで、……
むらむらしちゃって」
彼の手が止まる。
けいちゃんの顔が紅潮していた。鼻の穴が大きく膨らみ、「……おまっ!」そっぽを向いて叫ぶ。
「だって、……本当のことなんだもん」と言うわたしは半べそ状態。
すこしの時間をかけてから戻ってきた彼は、気持ちを落ち着かせていたのか、いつもの顔色に戻っており、
「綾乃らしいな」と笑いかけたのだった。
「……というと」
「無意識的にであれ、先輩のことが整理できていないと、おれと関係持っちゃあいけないと思ってたんだろ。ほんで今日、けりがついたからおれのことが見えてきたんだよ。……真面目な、綾乃らしいっちゃ綾乃らしい判断だな」
……そういうことだったのか。
自分でも、なにがなんだか分からなかったのが、彼の力を借りて、ようやく事態が整理できた気がする。
ここまで素直になるのなら、もうちょっと頑張ってみよう。「……あのね。けいちゃん」
「なによ。綾乃」
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