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「それに、最近は流れ星もめっちゃ増えただろ!新しく発見された彗星だって発表されてたじゃねえか。またお願い事できる機会もあるって。今度は消える前に気づけるといいな、うん!」
「ぶー。……そういえば学校でやってた。百年くらい前から、流れ星が見えることがすっごい増えたんだっけ?地球にちっちゃな隕石が落ちた日から一気に増えたから、“隕石が流れ星を連れてきたみたいだ”とかロマンチックなこと言ってる人がいるらしいけど」
「そうだな。いやはや、ちっちゃな隕石で良かったよなあ。大きな隕石だったら地球が滅んでたもんな裕太!」
「兄ちゃん、それ全く笑い事じゃないからね!?」
あっはは、と豪快に笑う兄。僕だって、隕石が原因で恐竜が滅んだという話くらいは知っているのだ。本当に降ってきた隕石の規模と場所によっては、笑えもしない被害が出たことだろう。たまたまアメリカの、誰も住んでないような場所に、一つだけ隕石が落ちてきたからいいようなものの。
当時は相当話題になり、一時期のメディアの話題を独占していたらしい。インターネットが普及して既に数百年が経過しているご時世、百年前のニュースもネットで検索すれば簡単に見ることができる。当時の人の中には、宇宙船が墜落したのでは!?それをNASAがこっそり隠しているのでは!?なんて騒いだ人も少なくなかったようだ。それはそれ、ちょっと面白そうだと僕も思う。地球の外に住んでいる異星人なんてものがいるとしたら、一体どんな姿をしているのだろう。表向きの発表は、ただの鉱石が落ちてきただけだと言われているらしいが。
「兄ちゃんは、お願いしたいことあんの?もう高校は合格したから、受験生としてとっても暇してらっしゃるわけでございますがー?」
僕がふざけた口調で言うと、うーん、とキラキラの星空を見上げながら兄は告げた。
「来週のポッド研修がナシになればいいなと思う。めんどい」
「えー、そんな小さなことに使うの?もったいな!」
「うっさいな裕太、俺は面倒で仕方ないんだ!一日がかりだぞ、その一日あったらどんだけ有意義に過ごせると思ってるんだ!ゲームし放題動画見放題じゃねーか!」
「おおう、素直でよろしい」
身振り手振りで力説する兄。ポッド研修、というのは。数十年ほど前に始まった、義務教育の最後に行われる特別な授業のことである。
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