ハヤテの背負い 【第一章 夢の続き】(七星満実さん)

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面白い所や見どころ: 気まぐれに辞めていくというよりは、"挫折"があって柔道を辞めていく人は結構多いモノです。"体が大きくならなかった"とか、"周りが自分より体格が良くなって力負けするようになってきた"という理由で学校を卒業して柔道から離れたという人は多くいました。敵わなくなってきた事に対し、それでも戦おうとする事がいかに難しいか分かりますね。 共通点は、"打ちのめされる"という事。この作品でも颯が柔道を離れる事になったのは"負け"というのがきっかけであって、誰にも負けない自身があったものの圧倒されて負けてしまう(しかも自分の得意技で)というショックがまさにそれではないでしょうか? …ただ、突き放そうとしながらも諦められない、そんな少年の繊細さと努力に裏打ちされた心の強さが巧みな心理描写を踏まえながら書かれている事にこの作品の素晴らしさを感じます。 内容としては、柔道から離れた少年が柔道部と遭遇し、諦めていた柔道への気持ちと向き合うという"青春"の話でありますが、挫折の話だったり日常の描写だったりと、等身大の少年ドラマが繰り広げられている様子は、何かと現実逃避の多いネット小説の中では注目すべきかと思いますね。 そして真に驚くべきは、この小説を書いている七星さんが柔道経験者では無い事。それながら柔道選手が見せる気迫や緊張感、そして技の一挙手一投足の細かい描写がされているとは、ひとえに競技を観察し尽くしたものだと考えざるを得ない、としか言えません。 知識や経験が必要となる内容を書くにあたって、事前にしっかり用意しておくことがいかに大事なのか、同じ書き手としてよく理解させてくれた作品でした。 個人的に注目して頂きたい点は: ・柔道家が認める、本格派柔道シーン ・柔道という競技を通じた挫折のリアル ↓作品URLはこちら https://estar.jp/novels/25764961
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