ガス灯のある街にて、結婚相談所の門を叩いてみたけれど(神崎 小太郎さん)

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では、この3点を踏まえた上で作品の魅力をお話しましょう。 ●誰かの意図がある この作品で言えば「小樽で結婚相手を探す」という話があって、小説を読み進める事で経験をできるモノであります。と言うか映画や小説は「観る、読む」体験ですよね。 ●特定の場を前提としている "結婚を考えていた時期に"彼氏と別れ、心沈んで小樽に帰郷する。そんな心の振れ幅が、リアル感のある街の描写とともに表現されている。冷たい雪の降る街でもありガス灯のある街=恋の冷たさや温かさを重ねて表現されたのでは無いでしょうか?そう考えると、これ以上に物語にふさわしい舞台では。 ●生活者が主体的に経験する 小説なので「読む」という事が経験ですよね。まず「読まされる」という事は無いので、常にここは主体的な話だと。 この3点を、神崎さんはどのように表現したのでしょうか? 東京から北に行った事が無いお奉行も、小樽という街を舞台に描かれるドラマの中で見せてくれる写真から"1人の生活"を追体験する事ができ、写真だけでなく文章でもしっかり表現されていたために、街中での生活や情景をしっかり思い浮かべながら読む事ができました。 分からない事、見た事無い事が"手に取るように分かる"というのは作品がしっかり作り込まれている証拠ですね。実際に小樽を歩いて、実際に見聞きした情景を描く。自分の"実体験"が作品のリアル感の源のように感じました。 そして、忘れてはいけない事。それは"小説は創作物"である事です。1人の女性の不安であり恋心であり、繊細な気持ちが"まるで自分の体験であるかのように"語られるのが物語の流れでありますが、登場人物を立体的に表現する事で、リアルな街並みにフィクションの人物を絶妙に溶け込ませる事ができたのでは無いかと思います。 こういう作品は、映像とかになって欲しいですね。 個人的に注目して頂きたい点は: ・実際に見た上で作り込まれた、小樽という街のリアル ・更に、リアルに混ぜ込まれた絶妙なフィクション の2つです。 ↓作品URLはこちら https://estar.jp/novels/25775587 こんな所でいざ、小樽を感じに!
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