荊軻伝 傍らに人無きが若し(temppさん)

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荊軻伝 傍らに人無きが若し(temppさん)

区切りの良い30回目です。 警察ドラマ、創作料理、エッセイ、イラストと自分の作風が未だに理解できていないお奉行です。ここまで読んで頂いた方は"はじめまして"では無いかと思いますので割愛。 今年はイラストも頑張りたいなーと思いつつ、フォロワーの絵描きさんには全く見向きもされていない現実です。そういう事を考える心の醜さとも、目の前の現実ともしっかり戦うべきだと思います。 前置きもここまでに、今回は"現実と戦った"男のお話をご紹介! 荊軻伝 傍らに人無きが若し 作者:temppさん 現在、完結済みです 歴史モノであります。以前は三國志の武将の話(蜀の廖化)を紹介させて頂きました。歴史モノは学ぶべき部分が多いから大好きです、お奉行の座右の銘も、歴史上の故事に倣った言葉ですし。 ネット小説界隈では忘れられがちな事だと思うのですが、電子書籍を含む"本"というのは元々、先達の知恵を遺すための手段であり、知の遺産です。それを実現するために文字が生まれ、文が生まれの話だと思います。昔話もそう、子供たちに物語を通じて何かを学ばせるための手段ですね。 特に、人のやった事については良くも悪くも学べる事が多いです。ましてや歴史は人の行いを綴ったものであるからこそ、"知の遺産"としての価値はあると考えています。 概要: 古代中国、秦王朝時代。秦によって中華の統一が目前となっている時期に、燕という国であった話。荊軻という人物が秦の始皇帝の暗殺に向かうという出来事を、史実と独自の解釈に基づき描写したヒューマンドラマ。 面白い所や見どころ: 史実をしっかり調べ上げ、登場人物を変に飾る事なくともそれぞれが温度の感じられる人物に仕上がっている作品でした。下手に付け加えない形で人物を表現するというのは、同じ書く者として見習いたいものです。 そもそも、歴史に関わるお話を"破綻させる事無く"完結まで書かれている事が何より"しっかり調べ上げられた"証拠だと思います。「準備が小説の基礎を作る」という言葉もあながち嘘ではありません。お奉行も作品を読んでから当時の事を図書館で調べてみたのですが、temppさんの準備の周到ぶりと書き込みの凄さを改めて思い知りました。 荊軻の視点よりも、周囲の人物の視点から物語が進む事により主を置いている荊軻の人物像がより浮き彫りになっている点にも技術の素晴らしさを感じられます。 また、独自の解釈は大事。人が何を見て何を思ったのか、それを知る事で多角的な考えが得られるきっかけになるからです。作品の面白さという観点で考えるなら、独自の解釈は一番読み手の心を揺さぶる可能性がある所であり、作者が最も伝えたい事を練り込める場面では無いでしょうか? この歴史の出来事に触れて、作者が何を考えたのかというのも歴史モノを読む楽しさであります。作中で話される"法"と"義"の在り方について、そのために何を成すのか?その答えは作品の一番の見どころであるかもしれません。 …以上の事を考えてみれば、この作品は非常に学びの多い小説だったと思います。素晴らしい作品をありがとうございました。 個人的に注目して頂きたい点は: ・変わる視点から、より浮き彫りになる主人公の人物像 ・"法"と"義"の在り方、そのために何を成すのか? ・その解釈から、作者は何を考えたのか? です。 お奉行の座右の銘とか、どうでもいいので早く作品を読みに行くのです! ↓作品URLはこちら https://estar.jp/novels/25752048
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