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一番ヒヤヒヤしたのは、奈々が動き出そうとした時。刑事と話がしたいと言われた時は、教えるかどうか悩んだけど、教えて良かったと思う。下手に断ると、変に思われちゃうかもしれなかったし、なによりあの刑事があまり情報をもってなかったから。思ってもいないような情報を握られていたら、俺の計画は水の泡になるところだから。ん? なんで奈々と刑事が話したことを知ってるのかって…奈々の服全てにGPS機能と盗聴機能の二つの機能が含まれているマイクを仕組んでおいたから、奈々がどこで誰と会ったのか、何を話したのかは全て把握している。
だったら、奈々の連絡が来ないからって、奏に頼む必要はなかったんじゃ? って? 俺一人で見つけたら、春崎くんを運ぶ人がいないだろ?春崎くんにあの家で燃え死なれても困るからな。外に運び出す必要があった。非道だと言われようと、他の誰かになんと言われようと構わない。例え、悪魔と罵られても…。俺は奈々のためなら、悪魔にだって魂を売る。自分自身が悪魔になろうとも。
ここまでする必要あるかって思われるかもしれない。けど、それだけ奈々を俺のものにしたかった、それが理由。一緒に住んでて、どれだけ色んな感情が俺の中に生まれたか、数え切れないだろう。嫉妬、切望、独占欲…様々な黒い感情は全部、奈々に教わったようなもの。今度は何も知らない奈々に、俺が色んな感情を教えてあげるから…。
「待ってて奈々」
-Fin-
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