わたしと優香ちゃん

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わたしと優香ちゃん

 今日は店長さん……大輔(だいすけ)さんとの初めてのデート(恥ずかしくて大輔さんなんてまだ呼べたことないけど)。いい歳して人生初のデートに浮かれて、昨日はなかなか寝付けなかった。コンシーラーを厚めに塗って、目の下のクマを隠す。夏っぽくて可愛いと一目惚れしたレモンイエローのトップスに真っ白なスカートを合わせる。いつの間にか膝が出るようなスカートは着れなくなってしまったけれど、動くたびにふわりと揺れる裾はなんだか『大人の女』感があって気に入っている。  楽しみすぎて待ち合わせ場所には十五分前に着いてしまった。あれ、やってみたかったな。『ごめん、待った?』『ううん、今来たところ』ってやつ。そんなこと考えながらささやかな木陰に身を隠していると、聞きなれた足音がした。振り返ると店長さんと、優香ちゃんがいた。あれ? 今日ってデートじゃなかったんだっけ? 少しだけ、本当に少しだけど胸がちくんと痛んだ。  ふたりはやっぱり仲が良い。認め合っているみたいな。すごく、羨ましい。優香ちゃんはもしかして店長さんのこと好きなんじゃないかなって思うことがある。彼の写真を何枚も保存しているのを前に見せてもらった。わたしは優香ちゃんの恋路を邪魔してしまったのではないかと思ってしまう。それに、優香ちゃんってすっごく可愛いから。今日もわたしには着れそうもない膝上丈のスカートを翻している。白くて綺麗な太腿がちらちらと見えて、溜息が出そうになった。
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