一、寮長と副寮長

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 春休み最終日である翌日は、毎年恒例ショップ街に繰り出した。咲希達も連れてきてもらった中華料理店でお昼を食べたら、本格的に買い物ツアースタートだ。新入生四人の他に。 「どっちがいいかな?」 「佳那、そっちも似合う! 私はそっち派!」 「私もこっちの方が好き!」  新学期用の買い物をしたいという京子と佳那。 「哲平、あと少しだから待ってってば!」 「わかった、持つから早くしろって」 「わーい!」  二人のお願いに弱い哲平に。 「咲希先輩、隣の本屋も寄ってもいいですか?」 「勿論! 珠里、本好きだもんね」 「やった! 新作の小説買いたいんです」 「あ、俺も参考書!」  この春付き合い始めたらしい珠里と順の4年生カップルも加わって賑やかな買い物になった。 「学年違ってもほんとに仲いいんですね!」  姫御用達だったブランドで、咲希達が服を選び合う様子に隆二郎が感嘆の声を漏らした。 「うん。先端技術科は昔から、学年とか関係なくほんとに仲いいよ! ね?」 「はい! 談話室はいつも誰かしらいるから、一緒になった人とお喋りするし、休みの日は皆で映画とか水族館とか行くし!」 「え、学校に水族館があるんですか⁉︎」 「こっちの敷地にはラウンジに熱帯魚の水槽があるくらいだけど、長期休みにだけ行ける敷地には水族館も動物園も牧場もあるから! 皆で行こうね」 「やった!」 「すごいっすね!」 「てか、学校にこんなに店あるのもあり得ないと思うんですけど!」  コウキと正も喜びの声をあげ。 「ね! 普通あり得ないよねー!」 「俺らも驚いた」  京子と哲平がそれを笑い飛ばす。  先端技術科よ和気藹々とした雰囲気に男子三人は早速馴染めたようで安心する。  問題は。 「歌はもう服選んだの?」 「はい。とりあえず一週間着回せればどうにかなりますよね?」  歌は会話に加わろうともせず、いつの間に会計を済ませたのか既に紙袋を抱えてる。
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