一、寮長と副寮長

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「今までどこにいたの? 何してたの?」  少しの間の後、ようやく出てきた言葉はそれだった。 「色々と勉強してたんだよ」 「家にも帰らないで?」 「まあね」 「Zって何⁉︎ 何で由羅にあんな酷い事したの⁉︎」 「あいつは咲希にもっと酷い事をしただろ?」 「何で誰にも連絡もしないの⁉︎ 昨年だって何で来てくれなかったの⁉︎」 「それはごめんね。テレビを見てなかったんだ」  一つ聞いてしまえば、言いたい事・聞きたい事が堰を切ったように溢れ出てくる。なのに答える一樹はのらりくらりで、まともな答えは一つも返ってこない。余計に感情的になってしまう。 「……今まで行方知れずだったくせに、何でここにいるの?」  答えたのは、今まで面白そうに見物を決め込んでいた城之内だった。 「ここに出戻りだよ」 「え⁉︎」 「教諭が辞めて、一年間臨時職員だったんだろ? 結坂が保険医に、そして俺が君らの担任になる」 「嘘でしょ⁉︎」  考えるより前に口が動いた。  だけど考えれば考える程、意味がわからない。この二人が意味のない事をするとは思えない。  一樹は裏でZなんて集団を作って操っていたみたいだし、城之内の性格は一年目だけで嫌という程身に染みてる。二人がわざわざ学園に戻ってきて、しかも教師になるなんて裏があるとしか思えない。 「何のために」  咲希が尋ねると、城之内は更に口角を上げた。 「流石に何でも信じる馬鹿正直ではなくなったか。少しは成長したね」 「私は真面目に!」
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