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「今までどこにいたの? 何してたの?」
少しの間の後、ようやく出てきた言葉はそれだった。
「色々と勉強してたんだよ」
「家にも帰らないで?」
「まあね」
「Zって何⁉︎ 何で由羅にあんな酷い事したの⁉︎」
「あいつは咲希にもっと酷い事をしただろ?」
「何で誰にも連絡もしないの⁉︎ 昨年だって何で来てくれなかったの⁉︎」
「それはごめんね。テレビを見てなかったんだ」
一つ聞いてしまえば、言いたい事・聞きたい事が堰を切ったように溢れ出てくる。なのに答える一樹はのらりくらりで、まともな答えは一つも返ってこない。余計に感情的になってしまう。
「……今まで行方知れずだったくせに、何でここにいるの?」
答えたのは、今まで面白そうに見物を決め込んでいた城之内だった。
「ここに出戻りだよ」
「え⁉︎」
「教諭が辞めて、一年間臨時職員だったんだろ? 結坂が保険医に、そして俺が君らの担任になる」
「嘘でしょ⁉︎」
考えるより前に口が動いた。
だけど考えれば考える程、意味がわからない。この二人が意味のない事をするとは思えない。
一樹は裏でZなんて集団を作って操っていたみたいだし、城之内の性格は一年目だけで嫌という程身に染みてる。二人がわざわざ学園に戻ってきて、しかも教師になるなんて裏があるとしか思えない。
「何のために」
咲希が尋ねると、城之内は更に口角を上げた。
「流石に何でも信じる馬鹿正直ではなくなったか。少しは成長したね」
「私は真面目に!」
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