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紅茶を淹れて一息つくと、本題に入った。
「さっき大丈夫だった? 華も他の普通科の子も反応がおかしかったから」
すると、華は大袈裟なまでに大きく息を吐く。
「まあね。まさかまた城之内先輩に会う事になるとは思ってなかったから動揺した」
「普通科の寮長、毎年怖そうだもんね」
「まあうちは元々ランク主義謳ってるし、どの寮長の時もランクが高い人が偉い、低ランクは言う事を聞けって風習だけど、それでもあの人は別格。今までのどの寮長より怖いよ」
「そんなに?」
「うん」
華は迷う事なく頷いた。心を落ち着けるように温かいミルクティーを一口飲んで、続ける。
「三戸先輩も怖かったけど、それは言う事を聞かないと大声で恫喝したりするから。城之内先輩の場合は怖いを通り越してえげつないの。自分の思い通りに動かない人間は物置に部屋を移動させたり、昼食代渡さなかったり、無理難題押し付けていびったり、笑い者にしたり徹底的に追い詰めてくるから。ターゲットになってる人に手を貸したら飛び火してくるから誰も助けないし、下手したら昨日まで友達だったとしても城之内先輩のご機嫌をとるために率先して苛めるし。私は一年しか知らないけど、ターゲットになってた先輩はほんとに可哀想だった」
「そんなに……」
「まあ、こんなの序の口。一晩話せるくらいえげつないエピソードたくさんあるから」
吐き捨てるような言葉の端々から、思い出したくもない日々だった事が伝わってくる。咲希が言葉に困ると、今度は慧が尋ねた。
「何であの人がここに戻ってきたか心当たりあるか?」
「全然。教師なんてガラじゃないと思うけど、生徒を思い通りに動かせる生活に戻りたかったとか?」
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