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次の日学校に行くと、景色は一変していた。
まず目に入ったのは教室に入ろうとせず、廊下から中の様子を窺うクラスメイト達。その中には尚人達の姿もある。
「どうしたの?」
「見ろよ。来たら……」
尚人は困り顔で教室内を指差した。
そこには昨日までの机はほとんど残っていなかった。
まず、一番奥の後方には廊下からでもわかる最新式の机が二組。白を基調とした広々とした机にサイドテーブル、ワゴンの引き出しとテーブルランプまでついていて、その上椅子も会社なんかで使われていそうな高そうなもの。そこだけ空間が違って見える。
そしてその近くには、ステンレス製の少し広めの机と柔らかそうな事務椅子のセットが五組並んでいる。教室の中央付近には今までと同様の机と椅子が並び、前方には小学校と見紛う机と椅子が並ぶ。そして一番最前列には。
「あれはないだろ……」
小さな折り畳みテーブルとレジャーシートが三組。
その光景が意味する事はすぐにわかった。
だけど、誰も動こうとしない。動けるわけがない。
そうこうしていると始業を知らせる鐘の音が鳴り響き、廊下の奥から城之内が現れた。
「何してる? 早く席につけよ」
「席がないんです!」
被せるように叫んだのは吉川めぐだ。
「そんな事ないだろ? 数は足りてる筈だ」
「昨日までの席は……?」
「今までがおかしかったんだよ。Sランク用の机はいいとして、EとAがほとんど変わらないのは問題だろ」
まるで当たり前の事のように言ってのける城之内に、今度は大川が尋ねる。
「ランク毎に座れって事ですか?」
「ああ」
「でも! Bランク以下は誰が何ランクか公表されてない筈です!」
すると、城之内は静かに口角を上げた。
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