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「なら好きな席に座ればいい。立ってる人間がいなくなったら授業を始めるから」
少しの間の後、最初に動いたのは慧だった。
「埒があかないだろ。咲希、謙太、行こう」
「うん」
「あ、待って!」
今まで座っていたのと同じ場所。SランクとAランク用に用意された机にそれぞれ座る。それに続くように他のAランクも教室に入って席についた。
廊下にはBランク以下が残された。
「行く?」
誰かの呟きが引き金となった。
「私Bランクだよ!」
「あ、俺も!」
「私だって!」
「俺Cだ!」
「俺もC!」
一斉に教室に駆け込んできたかと思うと、競うように前方の机に座っていく。ガタガタという煩い物音が収まった時、空いているのはレジャーシート三枚と今までの机が一セット。そして、立っているのは尚人達四人だった。
「体育科か。ほら、早く座れよ」
城之内は楽しんでいるかのように笑った。
「どうする……?」
「レジャーシートやだよ」
「私も……」
めぐと理沙はレジャーシートに躊躇いを見せた。だけど、人を押し除けて席の確保に走る事もしなかった。何より、反乱軍の事件以降テストも授業も頑張っていた。この四人はEじゃない。それはクラス皆がわかってる。
「違うでしょ?」
声を出さずにはいられなかった。
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