二、戻ってきた人

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「何で尚人達がそこに座るの?」  ここで取り乱したら城之内の思う壺。笑いもせず、怒りもせず。意識して淡々と尋ねる。 「いや、空いてないし……」 「でも明らかにEランク用の席でしょ?」 「そんな事言っても誰が何ランクかわからないしな」 「尚人達が損な役回りする事なくない?」  普段Sランクらしい事をほとんどしないから、こういう時は効果絶大。教室は城之内が作ったのとは別の緊張感に包まれた。  ーーあとはお願い。  想いを込めて、苛ついているフリをして人差し指と中指で二回机を叩く。 「嘘ついてる奴がいるんだろ。今は洗い出さないでやる。Bランク以下全員ジャンケンで勝った順に座れよ」 「え、何で!」 「俺はBだ!」  慧は抗議の声があがっても何のその。 「公表されるランクじゃないのが悪いんだろ。恨むなら自分と嘘ついてる奴にしろ」  一声で黙らせる。 「早くして、授業時間がなくなるから。……あ、そんな粗末な光景が視界に入るのも嫌だから、次の休み時間に誰か机用意してきてね」  咲希も付け加えると、前方に座るクラスメイト達は渋々立ち上がって円を作り出した。Sランク二人の冷たい声に、Aランクすら何も言わない。  ただ城之内だけは。 「へえ。少しは成長したんだな」  楽しそうに咲希からジャンケンへと視線を移した。
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