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その日の晩、全生徒に学園からのメールが回った。題名は【生徒会長及び生徒会役員の選任について】だ。
要約すると生徒会長は立候補制で、他の生徒会役員は生徒会長による推薦。生徒会役員はいつでも生徒会室を利用できる他、特別給付金という名のお小遣いが与えられ、権限の中で学園の予算の割り振りやイベントなんかを決められる。ただし、生徒会長に立候補できるのは7年生以上のS・Aランクのみ。そして複数の立候補者がいた場合には、ジュエルゲームで生徒会長を決める。
夕食の席で、話題はこのメール一色になった。
「生徒会長かー! こんなメール初めてだよね?」
「今までは高ランクに順番に打診がきてたんだって。公開するの初めてだろ」
「やっぱり外部に知られてもいいように?」
「そうだろうな」
博と謙太は行儀が悪い事承知で、携帯片手にカレーを食べ進める。
「生徒会って授業に出なくてもいいんでしょ? 前の生徒会長もずっと生徒会室で絵を描いてたって!」
「らしいねー! 生徒会ってだけで特別考課たくさんつくんだって!」
「ほんっとカッコいいよね!」
低学年の女子達ははしゃぎ。
「他のメンバーは生徒会長の推薦でいいなら、生徒会長の好きな人選んじゃえるって事だよね?」
「そうだよな」
「他の寮に独占とかされたら嫌だなー!」
五年生組に至っては話に夢中で、先程からスプーンが動いてない。
だけど、それ以上に気になるのはこのテーブルに集まる視線だ。皆がチラチラとこちらを見る中、健司は楽しそうに笑う。
「で。皆が気になってるみたいだから俺が代表して聞くけど、立候補する気は?」
その視線は真っ直ぐに慧に向いていた。
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