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二日後。メールはきっかり午後六時に送られてきた。
【生徒会長選挙 ジュエルゲームのご案内】
ーーえ?
思ってもいなかった件名に、慌ててメールを開く。
【結坂咲希様
この度、二名の生徒様が生徒会長に立候補されました。
よってジュエルゲームによる生徒会長選挙を行います。
立候補者;二名
大河内歩衣様(普通科・8年生)
結坂咲希様(先端技術科・7年生)
ジュエルゲーム内容;票取りゲーム
告知・ルール説明;4月20日
集計日;5月1日】
固まる咲希に気づいたらしい。一緒に部屋にいた慧が訝しげにこちらを見る。
「どうした?」
「普通科の大河内先輩も立候補したから、ジュエルゲームやるって……」
「え?」
はい。そう言って携帯を差し出すと、慧は無言で文面を追った。
票取りゲームなんて聞いた事がない。勉強や運動でも既存の競技でもなく、わざわざオリジナルのゲームにするのがこの学園らしい。
どんな内容なんだろう。だけど普通のゲームでないのは明らかだ。
咲希が大きく息を吐き出したのと同時に、携帯が戻ってきた。
「まあ大丈夫だろ」
「どんなゲームなのか全然わからないけどね」
「でも、今までずっと勝ってきただろ。大丈夫だ」
慧の言葉には力が込められている。
今までずっと勝ってきた。だから、大丈夫。
自分に言い聞かせるように頷いた。
「うん、大丈夫」
Sランクがジュエルゲームで負ければ、確実にランク落ちだ。負けられない。
ゆっくりと携帯を閉じた。
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