二、戻ってきた人

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 運命のその日、ホームルームが始まると同時にクラス全員の携帯が一斉に震えた。 「何だろ?」 「え、これ何?」 「何⁉︎」 「知らないアプリが入ってるんだけど」 「本当だ!」  見れば、皆が騒ぐ通り携帯の一番上に見知らぬアプリが入ってる。名前は『投票アプリ』だ。 「ほら黙れ。このクラスの結坂も立候補している生徒会長選挙だけど、複数の立候補者がいた事でジュエルゲームで決定する事になった。今からルールを説明する」  城之内は教壇に立ち、怪しく口角を上げた。 「名前は票取りゲーム。投票アプリを開いて見ろ、全員に一票ずつ票が入っている筈だ」  アプリを開くと、真ん中に大きくコインのイラストが現れる。その上には①の文字。 「勝敗は至ってシンプル。集計時点で一票でも多く票を獲得している方の勝ち。だけど、立候補者二人への票の移動は四月三十日にしかできない。そして、立候補者以外のアプリで保有できる票は十票までだ」  含みを持たせる言い方に、慧と顔を見合わせる。城之内はこちらを見て満足げに笑った。 「まあ、期待してるよ」 「……ありがとうございます」  城之内はそれきり何も言わなかった。「じゃあこれでホームルーム終わり」なんて言葉を残して、教室を後にする。  城之内の足音が聞こえなくなると、謙太が勢いよく振り向いた。
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