一、寮長と副寮長

3/18

466人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
 長い金髪にしっかりした化粧。見た目が派手な華は、誤解も与えやすい。そんな華が雑用をやらせるから覚悟して、なんて言えば新入生じゃなくてもビビる筈。  案の定、新入生の半数近くが身を硬らせた。  普通科のもう一人が少し付け加えると、今度は先端技術科の番だ。隣に立つ眞子は緊張を誤魔化すように小さく息を吸うと、一歩前に歩み出た。 「こんにちは! 先端技術科の5年生、田神眞子です。で、こちらは」 「7年生で副寮長をさせてもらっている結坂咲希です」  二人が自己紹介すると、新入生達の表情が和らいだ。それを確認して、眞子は笑顔で続ける。 「私達先端技術科は名前の通り、寮ごとの活動でパソコンを使ったシステム開発なんかを学びます! 勉強は大変だけど、先輩達が優しく厳しく教えてくれるし、楽しい寮です! 週末には皆でお好み焼きパーティーをしたりレクをしたりするし、放課後は談話室に行けば誰かしら先輩がいて、勉強を教えてくれるし、こんな寮は中々ないと思います!」  眞子の顔には、一点の曇りもない。 「先端技術科のいいところはたくさんありますが、一番は団結力です! ほんっとに皆仲が良くて、私もたくさん助けてもらってきました。本当の家族みたいな、温かい場所です!」  新入生達もどんどん笑顔になっていく。  それを嬉しく思いながら、続きは咲希が引き継いだ。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

466人が本棚に入れています
本棚に追加