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「へえ」
まるで何でもない事のように、楽しげな笑みを崩さない。
「このタイミングで声をかけるって事は、成績いいんですよね?」
今日はいつもの席関係なく、皆で一つのテーブルに座っている。宏太はフライパンから肉をさらいながら尋ねた。
「ああ。小学校の通知表では勉強は全て5。大手塾にも通っていて、塾の毎月のテストでも常に全国順位一桁」
慧は答えながら二個目の卵を溶き始める。続きは咲希が引き継いだ。
「ご両親がオペラ歌手とミュージシャンで、藤峰さん自身もジュニアオペラコンクールの優勝者。学力と選択科目だけなら間違いなくSランクになれると思う」
「えーすごい! でも咲希先輩が言うなら確かですよね」
「音楽一家だから歌って名前なんだね」
眞子と謙太も感嘆の声をあげながら、溶き卵の中にどんどん肉や野菜を入れていく。
「でも大丈夫なんですか? そんな協調性のなさそうな子。うち、あわないんじゃ……」
「大丈夫だって、宏太! ここに前例がいるから」
「え?」
「な、博?」
健司が笑いかけるのと同時に、全ての視線が博に集まった。話の途中から気配を消していた博は、気づかれたとばかりに苦笑した。
「まあ……そうですね」
「え、何で博先輩が?」
「入学当初は俺ら心配してたんだぞー?」
「黒歴史引っ張り出さないでくださいよ」
「あー確かに。博と慧、仲悪かったよね」
「えーっ⁉︎」
「嘘ですよねっ⁉︎」
謙太の言葉に、5年生二人組は驚きの声を上げた。
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