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 学年が一つ上がっても、学園の暮らしは変わらない。  春休みは目一杯遊んで、新入生が入ってきて、学校が始まれば週五日授業を受ける。カフェのケーキは相変わらず美味しいし、ショップ街には可愛い物が揃ってる。  大きく変わったのは。 「マジやばいって!」 「だよなー!」 「この後どうする?」 「俺の部屋来る⁉︎」 「お、そうしよ! お菓子買っていこうぜ!」  学園が賑やかになった。  賑やかと言えば聞こえはいいけれど。 「どこ寄ってくー⁉︎」 「他のお客様がいらっしゃいますので、お静かにお願いします」 「あ、すみませーん!」  脱落者制度がなくなって、低ランクの危機感がなくなった。ランクが下がってもお小遣いが減るだけ。もう高ランクの言う事を聞かなくても、脱落者になる心配はない。  ーーそれはわかるけど、これはない。  放課後一人で入ったカフェで、咲希は小さく顔を顰めた。せっかく買い物をして楽しい気分だったのに、大きな声で騒ぐ人達のせいで台無しだ。  見た目からして低学年。そして、あまり見覚えがないから恐らくBランクより下。  楽しいのはわかるけど、人の迷惑になるのはいただけない。 「騒がし」  だけどその呟きは。 「あーうるさい」  もっと大きな呟きにかき消された。
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