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それが始まりだった。
一緒に映画を見て、その後は興奮しながら感想を喋って、メールアドレスの交換もした。次の約束をして、名前呼びにもなった。
五年間も同じクラスだったけど、教室以外で話した事はほとんどない。
だけど、ふとした拍子に仲良くなってみると、華はさっぱりしていて付き合いやすい性格だった。
「そのバッグ可愛い!」
「ありがとう!」
「新作だよね⁉︎ あー、私も特別券欲しー!」
羨ましがっても妬まない。
「華、何読んでるの?」
「これ! 現代SF物なんだけど、主人公の四兄弟がキャラ立ちしてて面白いよ! 私ラブロマンスとか苦手でさ」
「え、面白そう! 読み終わったら貸して! 私も読んでて恥ずかしくなっちゃう」
「オッケー!」
映画以外にも趣味が似てる事もわかったし。
「咲希! 今日あいてる?」
「ごめん、今日は先約があるの」
「了解! 和パフェの新作が出たから今度行かない?」
「行きたい! 夜メールしてい⁉︎」
「勿論!」
距離感も程よくて、女友達にいい記憶がない咲希でも、一緒にいて居心地が良かった。
昔はちょっと怖かった。そう言えば。
「前はバカにされたくなくて、強く見せたかったんだよねー。でもランク落ちして、まともな友達がいないのに気づいてバカらしくなったの」
なんてあっけらかんと答えてくれる。そのらしさに笑ってしまった。
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