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「咲希、最近井丹と仲いいよな?」
休日の昼下がり。思い出したように尋ねたのは博だ。
「うん。あ、そうだ、来週の土曜日は華と遊んでくるね」
「いや、それはいいんだが、いきなりどうしたんだよ?」
「あ、それ気になってた! 今まで全然そんな感じもなかったのに、最近どうしたの?」
謙太も勉強の手を止めて顔を上げる。
「最近仲良くなったの! たまたま会って、ちゃんと話したら趣味も合うし、華、サバサバしてて一緒にいて楽しいの」
咲希はノートにペンを走らせながら、弾んだ気持ちで答えた。
三人なら喜んでくれると思ってた。だけど、一向に返事はない。顔を上げてみれば、三人は微妙な表情を浮かべている。
「……何?」
尋ねると、博は気を使いながら口を開いた。
「……大丈夫なんだよな?」
「何が?」
「Sランクとお近づきになりたい奴とかじゃないよな?」
「は?」
「そういう奴もいるだろ」
考えてもみなかった事に、唖然としてしまう。
「華がそういう事するって事?」
「あくまで可能性の話だよ!」
「でも疑ってるって事でしょ⁉︎ 華はそんな事しないって」
「心配してんだよ。新沢の事もあるし、お前女運ないだろ。姉貴といい、何回信じて裏切られたよ」
慧までそんな事を言い出して、六つの瞳が咲希に向いた。
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