テレカ屋さん2 夏の浜辺にて

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「…貴方、蝉まみれですよ」 「いやぁ、蝉を引っつけて遊んでいたら、木と間違えられたようで、他の蝉も集まって来て、この有様です」 逢坂は苦笑いして肩をすくめる。雛子は思わず後ずさる。 「失礼ですが、ちょっと気持ち悪いです…」 「蝉がですか…え、もしかして僕…?」 僕、の所で自分を指さす。 「…どっちも」 「早急に処理します」 逢坂がパチンと指を鳴らすと、蝉が一斉に飛び去った。彼はマジシャンか。 「ご自分では何とも思いませんでしたの?」 「来るものは拒みません。たとえ蝉であっても!」 「はぁ」 「溜め息つくと……ってこのくだりはもういいですね」 逢坂が笑う。雛子もつられて笑う。 「僕、蝉は好きですよ」 「どうして?」 「この声に包まれると、自分がちっぽけに感じます」 「ちっぽけでいいの?」 「だって大きかったら責任とか借金とか色々背負わなきゃでしょ」 「…確かに」 雛子にはそれが妙にしっくりきた。
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