1人が本棚に入れています
本棚に追加
4
彼女が一人で歩いているのを見かけた。
隣駅にある塾からの帰り道だった。
珍しく陽気な彼女に、僕は話しかけた。
やあ、久しぶり。
「あ!久しぶり!元気にしてた?」
その予想外の陽気さに面を食らってしまったが、僕は心から嬉しくなった。
うんうん。君も元気そうでよかったよ。
「私は、まあ元気、かなあ?正直不安だらけで」
不安なの?なにが?
「見知らぬ街でさ。なんか居心地悪くて。学校も上手くやっていけるか不安で」
そっかそっか。大丈夫だよ。僕と友達になろう!学校楽しみにしてるよ!
「友達ね。…うん、うん。よろしく。楽しみ」
あはは!よかった!よろしくね!
「あと、お母さんも心配で」
あ、この前もいってたよね。
何かは、わからないけど、遊んでいれば大丈夫だよ。
「うん、うん。ありがとう。そうだね、気にしてばっかりじゃいられないもんね」
そうそう!明るくいようよ!
君の姿は、夕陽に照らされて綺麗で。
笑う君は、可愛くて。
ひぐらしが耳をこだまして。
きっと、あんまり君には聞こえてないだろうけど。
最初のコメントを投稿しよう!