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彼女が一人で歩いているのを見かけた。 隣駅にある塾からの帰り道だった。 珍しく陽気な彼女に、僕は話しかけた。 やあ、久しぶり。 「あ!久しぶり!元気にしてた?」 その予想外の陽気さに面を食らってしまったが、僕は心から嬉しくなった。 うんうん。君も元気そうでよかったよ。 「私は、まあ元気、かなあ?正直不安だらけで」 不安なの?なにが? 「見知らぬ街でさ。なんか居心地悪くて。学校も上手くやっていけるか不安で」 そっかそっか。大丈夫だよ。僕と友達になろう!学校楽しみにしてるよ! 「友達ね。…うん、うん。よろしく。楽しみ」 あはは!よかった!よろしくね! 「あと、お母さんも心配で」 あ、この前もいってたよね。 何かは、わからないけど、遊んでいれば大丈夫だよ。 「うん、うん。ありがとう。そうだね、気にしてばっかりじゃいられないもんね」 そうそう!明るくいようよ! 君の姿は、夕陽に照らされて綺麗で。 笑う君は、可愛くて。 ひぐらしが耳をこだまして。 きっと、あんまり君には聞こえてないだろうけど。
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