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#EX-12.広坂冨美恵の許容と慈愛
「それでその美容師さん、離婚を勧めるんです……夜寝る前にどんな酷いことをされたか日記につけようって。でもそれ、……逆効果にしか思えなくって。わたしのなかで夫への憎しみがどんどん膨らんでいくようで……抵抗があって」
涙目で打ち明ける彼女の話に広坂冨美恵は聞き入る。こういうとき、横やりを入れないのが冨美恵のスタンスだ。
「美容師さんとのおつきあいは十年以上にものぼるんで、そのかた、わたしのことをある程度分かっているんです。だから、わたしのことをよく知っているひとがそんなふうに言うんだからやっぱり……将来的に別れたほうがいいのかなって。でも、子どもも父親に懐いているし、わたし自身いまの生活が気に入っているんで……変えたく、ないんです……」
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