#EX-12.広坂冨美恵の許容と慈愛

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「一口に介護といっても、いまは、いろいろなやり方があるのよ」と冨美恵。「介護のレベルによって入れる施設も違う。空きが出るのを待ってからより自分の条件に合う施設に入った、というひともいるわ。それは、そのご両親次第よね。どのくらいの資産があるのか、どこで暮らしていきたいのか……片方が先に亡くなったときにどうするのか。一概には言えないわ。ある程度経済的に余裕があるのであれば、施設に入るのも選択肢としてあるから……必ずしも、あなたを頼りにするとは限らないわ。少なくともわたしの周りでは宅で過ごすよりも施設を選ぶ人間のほうが多いわ。そのほうがお互い、楽でしょう?  あなたはいま、ご主人への不満。将来的な介護への不安。……それらをごっちゃにしているから、より悩みが深くなっているのね。  どうかしら? 将来的に、いまの生活を捨ててひとりになりたいって思う?」
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