#EX-12.広坂冨美恵の許容と慈愛

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 広坂の嫁として嫁ぐからには、広坂家のルールに従う必要がある。そのことも、弁えていないようであった。大事な息子の結婚式。なのに、選択肢があればその女は広坂のことを考えずに、自分のことばかりで。五万円で挙げられる結婚式場を選ぼうとしたのには絶句した。この子たちには指導者が必要だと、冨美恵は思った。  最初から『なにかやらかすなこの嫁は』という予感はあったのだが、婚約破棄を告げられたときには『やっぱりな』と思った。大切な息子を傷つけた女に対し、冨美恵は徹底抗戦をした。結果得られたのは、いくばくばかりのお金と、息子の自尊心の破壊。それだけであった。傷ついた息子たちの様子を見たときにようやく、冨美恵は自分がなにをしでかしたのかを悟った。時すでに遅しであった。
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