第一幕『始まり』

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「……サークル、か」 入学式を終えた学生達は各々、その日の残りは自由だ。家にそのまま帰る者が大半だが、俺は校内を散策していた。ふと立ち止まると、掲示板にサークル勧誘の文字が踊っている。 「……前は誘われても行かなかったが……覗いてみるか」 サークル棟は講義を行うA棟、B棟から完全に独立している。少し距離はあるが、答えとなる何か、俺が持ち得なかったものを得られるきっかけになるかもしれない。たまには骨を折ろう。 「ビリヤードサークル、二次元サークル、メイドサークル……多種多様だな。相も変わらず」 いくつか見て回り、いくつか捕まって勧誘されたが、コレといって目に留まる物はない。……いや、メイドサークルに男がメイド服でいたのは目に留まったが。それはともかく。 「残るはこの4階のみか……ん?」
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