第3話.喫茶店サスティナブル

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第3話.喫茶店サスティナブル

YouTuber物語▷▷▷ カランカラン 煙漂う狭い店内は人で溢れ、カウンターでは訳あり気な雰囲気の男女が真面目な表情で会話をしている。 「いらっしゃいませ、2名様ですね?」 ギンガムチェックのエプロンをつけた、ショートカットのウエイトレスが席まで2人を案内してくれた。 ギュギュ‼︎ 二人は年季の入った皮のソファーに腰をかけ、健太はテーブルに張り付いたメニューをバリバリッと躊躇なく剥がした。 健太「隆ヤンこれでいいよな?」 そう言うと、しゃがれた声でブルーベリーパイとメロンソーダを二人分注文した。 健太「ここのブルーベリーパイ美味いんだよ、それに店内もタイムスリップしたみたいで最高だろ?」 隆史「確かに懐かしい雰囲気だね、僕もこういうノスタルジックなお店昔から好きだし。」 健太「まぁ原宿で男二人タピオカ飲む感じでもないしな!そういえば隆ヤンって今仕事何しとるん?」 隆史「古着屋のアルバイトだよ。」 健太「そっか、古着屋か、隆ヤン洋服とか興味あったんやね!?今虹浦和に住んでるんだろ?池袋までどのくらいかかった?」 隆史「電車で30分だったかな...父さんの転勤で福岡から虹浦和に家族全員で去年引っ越したんだよ。」 健太「おーなんか風の噂で聞いたよ!東京までもうちょいの場所だったな?先月ちょっと用があって久々福岡に帰ったんだけど、やっぱ福岡は美味いご飯屋いっぱいあるし最高だよな、そういえば隆ヤンって和明の事覚えとる?」 隆史「和明君か!懐かしいなー、そりゃあ覚えてるよ、昔よく3人で遊んだよね、和明君がどうかしたの?」 健太「こないだ地元で飯食った時、今度東京遊び来るみたいな事言ってたぞ、あいつが来たらまた三人で遊べるな!?」 隆史「そっか、和明君か、、懐かしいな。」 健太「そうなりゃ毎日宴会だぞ!!ゴホッゴホッ!」 隆史「ちょっと健太君大丈夫?」 和明は同じく地元の同級生で、真面目な隆史から見て、少し不良のような怖い存在だった。 よく二人に連れられ隣町のゲームセンターまで自転車で遊びに行っていた、女たらしな見た目とは違い、とても仲間思いの熱い男だった。 二人はしばらく時が戻ったように、懐かしい昔話に花を咲かせたていた。 ウエイトレス「ブルーベリーパイ二つとメロンソーダ二つになります。」 健太「おっ姉ちゃん!ありがとな!可愛いな?名前なんて言うんだ?」 ウエイトレス「麻美です。」 ウエイトレスは嫌がる様子もなく、笑顔で健太にそう答えた。 隆史はどうしていいか分からず、顔を背けるように、じっとメロンソーダの炭酸を見つめていた。 健太「麻美ちゃんね!ありがと!隆史これだよこれ!昔映画でよく見ただろう!?よし食べようぜ!」 二人は再会を祝してメロンソーダで乾杯し、温かなブルーベリーパイを口に頬張った。 ふと隆史が窓の外に目をやると、慌てて傘をさすサラリーマンが見え、喫茶店の窓ガラスに雨呟が滴り落ちていた。 隆史「通り雨かな?」 健太「わー雨降ってきたな、。」 隆史「そういえば俳優の方は頑張ってる?」 健太はメロンソーダについてる、スプーンの端を少し舐めた。 健太「俳優か、それがさ...こないだ事務所辞めたんだよ、ちょっと色々あってな!まぁ俺にはちょっと窮屈だったな。」 隆史は返す言葉を見つからず、口を閉ざすようにブルーベリーパイをまた一口頬張った。 お店ではどこか聞き覚えのある、懐かしいフォークソングが静かに流れていた。
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