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理不尽
2年生になって、期待の星が何人か入部してくれて、ますます甲子園に向けて練習に力を入れるようになった。
一昨年の県予選の結果もあり、去年は練習試合が多かった。
でもバッテリーもたくさん練習試合組めるくらいにいたし、打撃力もパワーアップした。練習もメンタルトレーニングや食事トレーニングも充実してきた。
そのおかげか、努力の成果か、2年のときはベスト4まで食い込むことができた。
相手校の不調に助けられるわけでもなく、自分たちの力で勝ち取った勝利は、何にも変えられない喜びだった。
先輩たちも抜け、自分たちの代になった。先輩たちの引退は寂しいけど、すでに目標は来年の夏の甲子園に切り替わっていた。
新しい1年生も粒ぞろい。
珍しく外部からコーチも来てくれた。
練習も練習試合も更に充実した。
途中、同期のピッチャーが怪我したけど、センバツ前には完治して、エースとして皆を引っ張っていた。
しかし、私たちの努力を嘲笑う理不尽がやって来た。
「センバツの中止が決まった」
監督からは言われた言葉は衝撃だった。
誰もが冗談すら言えなかった。
未知のウィルスとの戦いにとうとう私たちも巻き込まれた。
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