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〇二階堂 海 「学校、続けるんだってな。」  俺の問いかけに。 「…学校側がしつこいからさ…」  紅美は、頭の後ろで手を組んで言った。  出席日数が足りなくて、留年決定。  学校側からの「ぜひ卒業してくれ!」という強い希望もあって。  勉強好きの紅美は、あっさりとそれを受けた。  二週間前、沙都が迎えに行って、紅美は…帰って来た。  そして久世君は…故郷に帰って行った。  沙都が陸兄に話した様子では、紅美は今まで見たこともないくらい取り乱して。  久世君に置いていかれたことを悲しんだそうだ。 「空ちゃん、治るかな。」  紅美が、二階の空の部屋の窓を見上げてつぶやいた。  空は、事故で記憶喪失になっている。 「…治るさ。」  つぼみの桜が、風で揺れる。 「そういえば…」 「ん?」 「海君…体育持ち上がり?」  紅美が、前髪をかきあげながら言った。 「ああ。あ、そうか。おまえの学年か。」  花壇のチューリップが、紅美の後ろで揺れた。 「ビシバシやるからな?」  俺がそう言うと、紅美は目を細めて。 「ブルマーになれとか言うのはやめてね。」  って、花壇の前にしゃがみ込んだ。
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