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「大丈夫か?」  廊下を歩いてると、カバンを持ったチョコちゃんに遭遇。  顔色をうかがうと、カバンを抱き抱えて。 「はっははい。」  顔を隠した。  チョコちゃんは今日、体育の持久走の最中に倒れた。 「今度から無理しないように。調子悪いなら、すぐ言ってくれよ?」 「は…はい…」 「それとも、俺は言いにくいか?」 「いっいいえ、そんな…」  …可愛い。  空と泉とは違ったところで…可愛い。  俺とチョコちゃんが話してると。 「うっみくー…あ。」  紅美が走ってやって来て。 「小田切先生~…」  俺に隠れて見えなかったらしいチョコちゃんを発見して、慌てて名前を言い換えた。 「…何。」 「はい、日誌。」 「ああ…日直か。」  俺はパラパラと日誌をめくって。 「…書き直し。」  紅美に返す。 「えっ、何で。」 「ロッカーのチェックなんてしてないだろ。見ずに〇なんてするな。」 「げっ、バレたか。」 「あと、ここ。サインじゃなくて、ちゃんと名前を書く事。」 「いいじゃん。価値出るかもしれないよ?」 「……」  頭を抱える。  紅美は俺の手から日誌を取ると。 「あ~、やだね~。細かすぎる独身男って。」  って、チョコちゃんの肩に手をかけた。 「俺のことか?」 「いいえ、べっつに。じゃ、ロッカーのチェックでもするかな。」  紅美はそう言って、教室の方に歩いて行った。 「……」  紅美の後ろ姿を眺めて、溜息。  …そばにいてやりたい。  そう思う反面、担任となってしまった今、一人の生徒に固執するのが難しくなった。  あれだけ一緒にいた沙都は、学年が一緒になったにも関わらず、紅美のそばにいるのを見かけたこともない。  沙也伽は卒業したし… 「あたし…帰ります。」 「あ、ああ。気を付けて帰れよ。」 「はい。」  チョコちゃんの背中を見送って。 「…よし。プリント作るか。」  潜入捜査が終わった事で、教師に没頭できる俺がいる。  それは…  二階堂から少し離れて、客観的に自分を見つめる事の出来る時間でもあった。
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