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お互いに向き合える所まで近付かれると、魔女の方から俺の方へ顔を上げて来た。
こうして改めて魔女と向き合ってみると、出会った時の俺の身長は、服の襟を掴まれるくらいに小さかったのだが、今では魔女の方が小柄で可愛く見えて来る……。
何故か、魔女は口元だけ笑ってみせた。
俺の手から分厚い鞄が魔女の手に渡ると、魔女が先に扉の方へ向かって行った。
魔女は扉のノブに触れると、ゆっくりと開いた。
扉の向こうから、陽光の眩しいのが射して来て、そのまま呑み込まれてしまいそうだ。
「……怖いかの?」
「まさか」
俺は魔女と同じ様に笑ってみせて、彼女の進む先へ、その後に続いて歩いた。
──あなたと一緒なら、何処までも。
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