アディショナルタイム

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 問題を解き終わった後の残り時間って、とてつもなく退屈だ。授業中の退屈さとは、ひと味違う。何といっても、よそ見出来ない。下手にあちこち見ていると、カンニングとかあらぬ疑いをかけられそうだ。かといって、机に突っ伏したら、一夜漬けの寝不足脳が一気に図に乗って、本当に熟睡しそうで怖い。知ってる? あたし、寝付きはいいけど、寝覚めは悪いのよ。  あー、退屈。みんな何してるんだろう。  所在なく、机の上に目を落とす。問題用紙の裏面に落書きでもしよう。どうせ解答用紙しか回収しないんだから。  そう思って、問題用紙をひっくり返して――血の気が引いた。  【第6問】  なんと、問題用紙の裏面に、もう1問設問があったのだ!  なんてトラップ! 卑怯だわ、ネズミちゃん! 「裏面に続く」の一言くらい書いてあってもいいのにぃー!  声に出せない叫びを上げながら、解答用紙を裏返すと、やはり【第6問】の回答欄が、しれっと印刷されていた。せめて、白紙なら、ミスプリだと言い訳出来たのに……。  あたしは、恐る恐る黒板の上の時計に目を向けた。  只今の時刻、10時5分。  試験終了時間まで、あと5分。  あたし、絶体絶命だー!
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