序章

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京の都を流言飛語の嵐が駆け抜ける!  藤原伊州、出世争いに負けた責任を母后(伊州からみれば叔母)のせいにして呪詛を行った! 逆恨みの狂気! 厭物は木製の人形(ひとがた)! 母后の髪の毛を湯浴み中に盗んで厭物に巻きつける破廉恥極まりない行為! 流言飛語の術が行われた日より伊州は針の筵、その妹である中三谷定子も針の筵…… 同じ正妻である中三谷彰子より白い目で見られるようになってしまった(元々、対立相手で仲は良くなかったのだが……)女官たちの定子を見る目も何か変なものへと変わってしまった。 そして、芳鈴寺(ほうりんてら)の住職より「拙僧達は藤原伊州殿に頼まれ呪詛の祈祷を」と密告が入ったことがトドメとなり伊州は逮捕、形式だけの決裁が行われ、その日のうちに太宰府への流罪が決まり、西に流されることになってしまった…… ちなみに芳鈴寺であるが、このような寺は京の都どころか日本のどこにも存在しない、住職も志能備の変装で嘘の証言をしただけである。決裁を担当した貴族の役人も「芳鈴寺なんて寺きいたことないな」と、疑問には思ったがよく確かめもせずに「呪詛を引き受ける寺なんて非道い寺だ」して、ありもしない寺に取り潰しの命令を下すのであった……
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