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2人暮らし 急にはじまりました
今 何が起こっているのか全く分からない。
いや 分かった所で信じたくない・・・そもそも信じられない。
頬をつねると痛いことは、何十回も検証済みだ。
夢じゃない。
目の前で寝ているのは『私』だ。
鏡でしか見たことがないそのままの『私』が布団からはみ出て眠っているのだ。
私は・・・もしや死んだ!?
思い当たる節はいくつもある。朝食を抜いて出社、散々こき使われて夜遅くに退社。出来合いのものを使って遅めの夕食 乱れまくった睡眠時間・・・私は20代半ばにして度重なる不摂生が災いし、誰にも看取られること無く死んだ。
あっけないなぁ・・・と、感傷に浸っている瞬間だった。
「・・・んんーー・・・」
布団がモゾモゾと動き、もう1人の「私」はゆっくりと体を起こしていく。
「!!!?」
死んでない・・・じゃあ一体誰っ!?
人は本当に驚くと、声を出せずに立ち尽くすしかなくなるらしい。
「私」は、布団にペタンと座った状態になると、うつらうつらしながら、どこか一点をボーッと見続けた。それも毎日私がやっている仕草と瓜二つで、背中に悪寒が走る。
「・・・・・・あの」
意を決して声をかけると、「私」はゆっくりとこちらを見た。
「・・・あぁ・・・」
まだ眠気眼だが、私はムクリと立ち上がった。
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